intime o'

恩に着ることなんか、この世にあるわけはないよ(阿佐田哲也著「麻雀放浪記(三)」より)
ワンセグ放送について 2011/11/27(Sun.)
ドアは二つ。前方のドアには何も書いてなく、右方のドアにはSTAFF ONLYと書いて
あるのを認めるとアリスは前方のドアを開けた。人一人が立つ為だけの空間があって
またドアがあった。それを開けると少し広い空間があって、またドアがあった。

そのドアを開けると男が一人立っていた。思わずすいません、と言ってドアを閉め
ようとすると男はこちらに一瞥したように見えたがドアをもうほとんど閉めた後
だったのでよく見えなかった。今度男が通った時にはちゃんとその男の顔をよく
見ることにしよう、と思ってアリスはその少し広い空間の隅で男が出てくるのを
待つことにした。

ドアの向こうからものすごい音がしたかと思うと男が出てきた。
男が出た後のそのドアの中に入り、またもう一つドアを開けた。その向こうには
何かが置いてあるらしく、ドアは半分までしか開かない。アリスは身体を横にして
なんとかその中に入っていった。

自制心のある者とない者ではどちらがより大胆に行動するか。
自制心のある者は自重の程度を知っているからあまり大胆に行動しない。一方、
自制心の無い者は誰かが見ている前ならば大胆なことはしないものである。誰か
が見ていることを考えると自制心のある者とはいつも我慢しているから、自分を
見ている誰かが自分の良心となることを期待して、厚顔無恥なことをしでかして
しまうものである。一人で店に来た時はただ壁の花になることを望んでいるのに
誰かとお店に来るとどんちゃん騒ぎを起こして店に迷惑を掛けてしまうもので
ある。
だから、他人と居酒屋にでも行って、騒ぎ出す人がいても、自制心が無い人だと
思ってはいけない。案外一人の時には大人しいものだ。

アリスは電車の中で携帯電話のワンセグテレビでNHKを見るのが習慣になっていた。

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