intime o'

みんなあいつの幻想だもの。そうだよ、何も悲しいことなんてないや。さ、おいで! (ルイス・キャロル著「不思議の国のアリス」より)
ボーダー・続き 2011/12/22(Thu.)
 周りをよく見てみると何人かはこの線を超えて向こうへ歩いて行ってしまって
いる。すると隣にいた人も線を超えて歩いていってしまった。白いYシャツの
おじさんを見て数人がひそひそと言っていた。「なんなんだ、あいつは。けし
からんヤツだ」と。誰も止めやしない。暗黙の約束でしかない、ただ地面に
描かれたこの太い線を超えてはいけない、と。しかし超えたところで
何も不都合は起きないどころか、超えてしまえは向こうへ行けるのだ。
内心、誰もが線を見ないふりして向こうへ行ってしまいたいはずである。

私の心には小さい小さい火が灯った。
こんな線無視して、行っちゃおうぜ。って言ってやりたい。
皆反対するだろう。でもそれを皆望んでいるのだろう?
どうして反対するのだろう。

白い線の前には人だかりができていた。
私はその一番前にいて線を見ているが、後ろの人は見えないだろう。
何が起きているのかも分からずに割り込んできてこの線を見て納得する
者もいる。その人だかりに押され、転げ、(転げたふりをして?)私は
線を乗り越えてしまった。

その時、私と似たような若い青年がどこから用意したのか箱の上に立ち
大声で何か叫んでいるのに気附いた。
でももう何も見えない。
もう、早く行かなくちゃ

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