intime o'

彼は農場なるものを定義し、描写し、説明し、陳述し、叙述しようと弁舌をふるった (「O・ヘンリー短編集(三)」より)
パロディの前に人は平伏す 2012/06/30(Sat.)
「よくまあここまで来れたものだね.一人で来たんだよね」
「はい.初めて来た場所だったので.いえ行き慣れたところなら
信号だって上手く回避して行く事ができるのですが、坂を登った
こちら方面には初めて来たので、二度くらい車に轢かれそうになりました」
私にはまだ冗談を言う気力が残っていた.
「しかしこれはすぐにでも手術をしないといけないよ、きみ.
手術は受けるんだよね?受けずに更に矯正するか訓練を受けるかとか
別な手立てもあるけれど、、医者としては手術を勧めるべきだと
思う.もうここまで酷くなっていてはね.」
「はぁ、そうですか」
「そうですかじゃないよ.受けるんだね?」
「お医者さんがそういうのなら、そうしないといけないのでしょうね」
「じゃあまず検査入院.なのだけど、今はゴールデンウィーク明けで
受付も入院部屋も満員なんだ.一週間後にまた来て」
と言われ追い出されてしまった.緊急に手術を勧めるくせに一週間も
放ったらかしにされるなんてなんという病院だ.他の病院も当たったほうが
いいのだろうか.私は住所と電話番号を書いてまたふらふらしながら帰った.
電話がかかってきたのはその二日後で、送迎のミニバスをよこそうかという
誘いを断って、また自分で歩いて病院に向かった.

コメ(0) | トラ(0)