日記「芦」

全部、作家は、不幸である。(太宰治著「緒方氏を殺した者」より) 悪い目覚め 2011/6/3(Fri.)
もう二度と起きないつもりで寝たのに、すんなり、いつもと変わらない
午前8時という、とても規則正しい時間に目が覚めてしまって興醒めというか、
軽い絶望を味わった。
頭が重くて、何故か左の肋骨が痛い。
何があったか?それを聞くのか?
そうだな。インターネットに飽きた、というのは一つの正しい理由だ。
実を言えば、それを内包する現実そのものに飽きたのだ!と主張したい。
でもそこまでの口実も無い。未練もある。
未練があったのに自殺しようとしたのか?
分かってるじゃないか。

目が覚めて、寝る前に何を考えていたか思い出そうとする。
鍵、金属でできた鍵穴に突っ込む、その鍵ではなくて、キーワードとか
キーパーソンとか、そういう、キーのことを考えていた。

気づいたら、学校に方面の電車に乗って、立っていた。後ろでドアが閉まった。
不思議だな。無意識にここまで、駅まで歩いてきたのか。家から駅まで歩くと
20分はかかる。私はいつの間にここまで歩いてきたのだ?私はいつの間に家を
出たのだ?
昔もこういうことはあったな。その時はただ、家の鍵を閉めたかな?とか、電
気は消したきたよな?とか、そういう心配で心が奪われていたが、今はただ
そんな昔のことを思い出して、過去の自分を若い人を見るおじいさんのように
微笑ましくふっと笑って、ああ、そういえば、この一年は十年のようにも思え
た。そのくらい色々あった。今はもう、全てがない。だから、家の鍵を掛け
忘れていても、何も盗まれるものは無いのだ。どうぞ入ってください、だ。
そして見事に何も盗むようなものがないのに驚いてくれたらいい。

確かめるように学校前の駅で降りて、教室に入ってみると、ほとんど昨日と
同じような講義がやっていた。同じ教授が同じ文字を板書しながら同じ言葉
を発していた。私は確か、一番前の席でそれを有難がって聴いていたはずだ。
今、私はできるだけ迷惑にならないように足音をできるだけ立てないよう、
静かに歩いて、踵を返して外に出た。

新しい今日である。
気持ちは昨日と続いている。
さて、どうしようか。


<考察>
「自分をみつめなおす会」などというものに、悪い気まぐれを起こして、
参加してしまった。行ってみると参加者は自分一人で(せめて主催者だけ
でも来いよと言いたい)、しかも会の実態はなんてこともない「集団自殺
集会」であった。八時間の苦悩の末、私は思いついたのは、重力には逆ら
っちゃだめだ。

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