日記「芦」
全部、作家は、不幸である。(太宰治著「緒方氏を殺した者」より) 中華街 2011/6/6(Mon.)人の弱い部分を見てしまって嫌な気持ちになった話。 一年ぶりに中華街に来た。 観光のつもりで駅から中華街を通って海まで歩いた。本当は中華街より も海が目的だった。三十分くらい海を見て、また中華街に戻り、一つの 中華料理屋さんに入った。そこは以前よく通っていたお店である。 中華街というのは当然ながら、中華料理屋さんにとっては激戦区である らしい。もっと違う雰囲気の所にお店を構えれば、自然と客も来るだろ うに。 とにかく、中華街に食べ物目当てで来る客なんて、中華料理が目当てに 決まってるのだから、競争が激しいのだ。そこのお店で言えば、来るた びに料理の量は増え、値段は下がるその一方であった。私はその日、 ホテルで朝食をとってからまだ何も食べてなかったので、そのくらいの 量は食べきれるだろうと思い、ネギそばとチャーハンのセットを頼むと 、春巻きまでサービスで付いてきて結局、食べきれず残してしまった。 私はそばでもラーメンでも、汁まで飲み干してしまわないと気が済まない 質なのであるが、この時ばかりは、ネギそばの汁を飲み干す前に、チャー ハンを食べきってしまうべきだったと後悔した。 後ろに座っていた先客が料理を食べ終わったらしく、その客が店主に 「ここは、たばこは吸ってもいいのかな?」と尋ねた。 確かこの店はずっと禁煙のはずであるし、テーブルに灰皿も予め置いて ないことから察して欲しいものだと思っていると、店の人は 「いいですよ」とすぐ返事をして灰皿を店の奥から持ってきた。 その、店の人の申し訳なさそうな言い方が許せなかった。
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