日記「芦」

のうてん気な日々というものは、反動で内省的な気になる。それが実は、最大の敵なのである(阿佐田哲也著「新麻雀放浪記」より) わーい夏休み 2011/8/14(Sun.)
「数学ガール」がある。
原作は小説で、登場人物の容姿については描かれない。表紙にスタイルの良い
キャラの絵は書かれてるけど顔とか見えないしあんまり分からない。恐らく
この表紙で小説の中身に対する印象は影響されるほどではないだろう。

昔の日本の小説では人物描写は意外と詳細になされていて、現代小説になって
きてからそういうのは無くなったわけだけど、マンガだとか表紙や挿絵にマン
ガの絵を多用するライトノベルなんかでは絵によって容姿が描かれる。この現
象はなかなか面白いじゃないか。

「数学ガール」は3回くらい違う漫画家によってマンガ化されてるけど、
はっきり言って原作ほどは話題にはならない。パッとしない。小説は上に
書いた意味で現代小説らしいものなのに。ただ内容は別に文学的でも無く
て、むしろライトノベル寄りなのだ。もちろん私の考えるラノベ的という
ものだけど。

マンガとか読まずに原作だけを読んだとしたら、キャラクターはどんな
人物だと思うかな。まあそれは人それぞれだとして、。可愛らしい女の子
が小難しいことを言っているという違和感を楽しむ小説なんじゃないかな
と思った。

マンガの絵を多用した英単語帳ってのは私が中学生の頃に出たし、
たぶんそれがほとんどオリジナルで、似たような本が一杯できてた。
アニメの絵を起用した高校化学の内容はいたってマジメな参考書とか、
センター対策の黄色い本で表紙に涼風の人が書いたアニメ絵が使われた
本のシリーズなんてのもあった。周り皆使ってたなあ。

ただ表紙、挿絵に使われてるだけでなくて、もっとキャラクターが
理知的で実際にそいつが小難しいコト言ってるというギャップが
「数学ガール」の場合は面白い。

そういえば「マンガで覚えるフーリエ変換」とか「~~相対論」とか
そういうシリーズもあった。A4くらいの。あれは学校の授業について
けない大学生がふらっと買うことを目的としたようで、それなりに
参考書としては役立ちそうだけど、それなりだな、と思った。
フーリエ変換だったら、軽音楽部の主人公たちが音の仕組みについて
習うついでにフーリエ変換を習うような。そういう、強引に実用的な
モノとして習うようなストーリー。「数学ガール」では、実用的でも
なんでもなくて単に数学は美しいし好きだから先輩に教わって後輩に
教えるというだけのストーリー。純粋数学は役に立つことは無いから
仕方ないね。その美しさの比喩が割と面白いから文学としても、やっぱり
面白い本なんじゃないか。

「数学ガール」の作者はwebサイトを持っていて、そこで5個くらい、
短いお話が読める。それは「数学ガール」とは関係ないけど、やっぱり
数学を絡めたお話。個人的感想だけど、なんとなく感動が無いんだよなあ。
やっぱりどんな可愛らしいキャラクターがそれを言っているのか、
というのは重要だと思う。

私がこういうのを書いてみようと思うと、まず絵が描けないからいけない。
じゃあ、例えば、マンガを用意して、絵を切り貼りしてセリフだけそういう
のにしてみたらいいんじゃないか。でも、それじゃあ公開できなくて
つまらないから、公開するのはセリフだけで、マンガはユーザーに用意して
もらう。つまり、
「『なになに』何巻の何話の絵を見ながらお楽しみ下さい」
とすればいい。
そのお話のフキダシの中の読む順のセリフに、私の書いたテキストを埋めて
貰うわけ。これは書く側としてはひとつのハンディだ。

というアイデアをさっき思いついて、これはすごいと思い文章を書いてる内に
思い出したんだけど、よく考えたらSSっていうのがあった。
つまり、あるアニメを私も知っててユーザーもそれを知ってるという前提で
そのアニメのキャラクターを使った戯曲を書けばいい。

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